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労務Q&A(労働契約)

労働契約の締結

労働契約を締結する場合の注意点を教えてください。

労働契約を明示し、一定の事項については書面を交付しなければなりません。

労働者を雇い入れる場合には、労働基準法の定めにより、使用者は次の労働条件を明示しなければなりません。

(1) 労働契約の期間に関する事項
(2) 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(平成25年4月1日から明示が義務付けられました。)
(3) 就業の場所および従事すべき業務に関する事項
(4) 始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
(5) 賃金(退職手当および(8)の賃金を除く)の決定、計算および支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期ならびに昇給に関する事項
(6) 退職に関する事項(解雇を含む)
(7) 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払の時期に関する事項
(8) 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与、これらに準ずる賃金ならびに最低賃金額に関する事項
(9) 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(10) 安全および衛生に関する事項
(11) 職業訓練に関する事項
(12) 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
(13) 表彰および制裁に関する事項
(14) 休職に関する事項

このうち、(1)から(6)に関する事項は、どの事業においても必ず明示しなければなりませんが、それ以外の事項についてはこうした定めがある事業に限り明示することとされています。これらの事項については、おおむね就業規則に規定されている内容となりますので、就業規則を明示することにより労働条件が明示できるのでないかという考え方もありますが、絶対的明示事項である(1)から(6)の事項については、その内容が明らかとなる書面を交付しなければならないこととされているため注意が必要です。

試用期間

試用期間とは何でしょうか?

試用期間とは採用した社員の適格性を判定するための期間をいいます。

企業は労働者を採用するに当たり、面接や筆記試験等を行いますが、限られた時間、情報で社員の適格性を判断するのは非常に困難なことといえます。そこで、入社後3カ月程度の試用期間を設け、その間の業務遂行状況などから、本採用とするかどうかを決定する場合があります。

試用期間が付されている労働契約は、試用期間中に社員として不適格であると企業が判断した場合に、その労働契約を解約できる旨の特約が留保されていると解されています。ただ、試用期間が付されているとはいっても労働契約は既に締結されていますので、試用期間が満了しても当然に労働契約が終了するわけではなく、本採用しない場合には労働契約を解約する必要が生じます(解約権の行使)。

したがって、試用期間満了後の本採用拒否は事業主からの労働契約の解約、すなわち「解雇」にあたりますので、客観的で合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認できない場合には、権利を濫用したものとして無効とされます。

しかし、試用期間満了後の本採用拒否は通常の解雇と同一視されるべきではなく、裁判例では通常の解雇より広い範囲で解雇の自由が認められています。実際には個々のケースごとに判断することになりますが、勤務態度や勤務成績の不良、業務遂行能力の欠如、非協調性、経歴詐称などの場合に有効とされる可能性があると考えられます。

健康診断

企業は、必ず健康診断を行わなければならないのでしょうか?

必ず健康診断を行わなければなりません。

労働安全衛生法は、事業主に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の健康診断の実施義務を課しています。厚生労働省令が定める一般健康診断は、大別すると以下のものがあります。

(1) 雇入れ時の健康診断
(2) 定期健康診断
(3) 特定業務従事者の健康診断
(4) 海外派遣労働者の健康診断等

事業主は、健康診断を行った場合には、健康診断個人票を作成し、これを5年間保存することが義務付けられていますので、健康診断の結果を医療機関や労働者本人から報告を受ける必要があります。事業主は、健康診断の結果、健康診断項目に異常所見がある場合には、その労働者の健康を保持するため、医師等の意見を聴取し、必要がある場合には就業上の適切な処置を取らなければなりません。

健康診断に係る費用の負担については、法令上定められていませんが、事業主に実施義務がある以上、事業主が負担すべきものと考えられます。

また、HIV等の感染症の検査など法定検診項目以外の検査については、労働者のプライバシーの問題がありますので、本人の同意がない場合には行うべきではないでしょう。

退職の種類にはどのようなものがありますか?

自己都合退職など3種類があるといわれています。

退職とは、就業していた労働者が、その職を退き労働契約を解約することをいいます。退社、離職といった表現をとる場合もあります。
退職は、広い意味で事業主都合による解雇を含むと考えられますが、本Q&Aでは解雇以外のものを解説します。

1. 辞職(自己都合退職)
労働者による一方的な労働契約の解約を辞職や自己都合退職といいます。代表的なものは、転職希望の場合や健康上の理由による退職などがあります。
一般的には辞表や退職届の提出により意思表示を行いますが、口頭による場合も有効とされます。実務上は後日のトラブルを防止するため、書面による意思表示とした方が良いでしょう。

2. あらかじめ定められた事由による退職
退職となる場合の事由を労使間であらかじめ定め、その事由が到来することにより自動的に退職とされる場合をいいます。定年退職や有期労働契約の期間満了による退職などが代表的なものです。また、一定の私傷病により労働できない労働者について一定期間「休職」とする制度を設けている事業所がありますが、休職期間が終了しても復帰できない場合には退職と定めている場合があり、このようなケースも該当します。

3. 合意退職
労働契約は「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することにより成立」します(労働契約法第6条)。労働契約が合意による契約である以上、それを労使の合意により解約することも可能です。
合意退職には、労働者側が退職願を提出し事業主が承認することにより成立する場合や、事業主側が希望退職を募集し労働者がそれに応じて退職が成立する場合などがあります。
合意退職は、あくまでも自由意思に基づく合意があることが前提で、事業主からの強迫・詐欺による場合や労働者本人の錯誤による場合などは合意退職が無効とされることもあります。

解雇の種類

解雇の種類にはどのようなものがありますか?

整理解雇など3種類があるといわれています。

解雇とは事業主による一方的な労働契約の解約のことをいいます。事業主の一方的な意思表示のより労働者としての地位を喪失させるもので、労働者に与える影響も大きく、労使間のトラブルの中でも解雇に関するものが一番多いようです。
解雇は、その事由によって、整理解雇、懲戒解雇、普通解雇の3つに大別されます。

1. 整理解雇
整理解雇とは、経営不振等の理由により事業を縮小する場合など、経営上の都合により一定数の労働者を解雇することをいいます。整理解雇は労働者側にまったく非がないにもかかわらず事業主の都合により行われるものであり、過去の判例により解雇の有効性を判断するための4要件が確立しています。

a. 人員削減の必要性があること
〈例〉人員削減しなければ倒産するような状況にあるかどうか
b. 事業主が解雇を避けるための努力をしたこと
〈例〉経費削減、役員報酬の減額、不要資産の売却、賞与カット、希望退職の募集、配置転換、出向、転籍等を既に実施しているかどうか
c. 解雇対象者の選定が客観的、合理的な基準に基づくものであること
〈例〉勤続年数、勤務成績、雇用形態等を判断基準としているかどうか
d. 解雇手続が妥当であること
〈例〉労働組合や労働者との事前協議、交渉、説明等を実施しているかどうか
判例では、これら4要件を検討しながら、整理解雇の有効性が総合的に判断されています。

2. 懲戒解雇
懲戒とは、事業主が労働者に対し行う労働関係の不利益措置のうち、企業秩序違反行為に対する制裁をいいます。事業主が懲戒処分を行える根拠については諸説ありますが、原則として、就業規則等に懲戒処分の規定があり、それに基づいて行う必要があります。
懲戒処分としてどのような処分ができるかについては、法令上定められておらず、一般的には譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇といった処分を行う就業規則が多く見られます。各違反行為についてどの処分を適用するかは懲戒の必要性と労働者の不利益のバランスが重要で、重すぎる処分や不平等な取扱いは権利の濫用として無効とされる場合があります。
懲戒解雇は、懲戒として事業主が労働契約を一方的に解約するものであり、懲戒処分の中では最も重いものといえます。経歴詐称、転勤命令拒否、横領、機密情報漏洩、相当期間の無断欠勤等を懲戒解雇の対象とする企業が多いようです。

3. 普通解雇
上記1.2.に該当しない解雇を普通解雇といいます。労働契約法第16条により、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効」とされます。
なお、雇用保険関係の助成金については、労働者を解雇した場合、支給対象外とするものもありますので、解雇に当たっては留意が必要です。

休職制度の留意点を教えてください。

休職制度は法令に定められたものではなく、いくつかの留意点があります。

休職とは、ある労働者について、労務に従事させることが不能または不適当な事由が生じた場合に、一定期間、労働契約関係は維持したまま、労務への従事を免除すること、または禁止する制度をいいます。よって、使用者側の経営上の理由や天災事変等の不可抗力により行われる「休業」とは異なります。休職制度は法令に定められたものではなく、休職の規定を設けるか否かについては、会社の裁量に任されていますが、設ける場合には就業規則に定めておく必要があります。
休職は、労働者の私傷病によるものが多いですが、その他、公職に就任した場合や他社への出向、海外留学の場合などがあります。

  • 休職は就業規則に基づいて、使用者側の一方的な意思表示で行うことが一般的ですので、就業規則においては、「休職とする」ではなく、「休職を命ずる」とされたほうが良いでしょう。
  • 休職期間中の給与の取扱いは事前に定める必要がありますが、私傷病の場合などは、無給とすることが一般的です。
  • 休職期間は、休職事由や在籍期間の長さを考慮して決めることが多いですが、休職期間が無給の場合、あまり長くすると休職期間中の社会保険料、住民税の本人負担が重くなりますので、留意が必要です。
  • 私傷病により休職し、休職期間が満了しても治癒しない場合、休職期間の満了をもって「退職」とされるのが良いでしょう。また、復職の場合は、医師の診断書の提出が必要と思います。
  • 精神疾患等の場合、復職後に再発することが考えられますので、同一事由(同一疾病、類似疾病など)により再度欠勤があった場合の規定を整備する必要があるでしょう。

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